モブ討伐に出発する時刻になったため、仲間と合流しようとテレポストーンを使い移動をする。
クリスタルに触れて到着した先に、道の脇に立ち止まるの後ろ姿が目に留まった。
話しかけようと思い数歩足を踏み出すとは急に空を仰いだ。―そして今度は反対に俯く。
振向き横顔が見えたその時――
陽に照らされ光る雫が彼女の瞳からこぼれ顎先からポタリと落ちたのが見えた。
ドクンと心臓が強く脈打つのと同時に自分の呼吸が止まった、、、、、、、
そんな錯覚に囚われる程の衝撃だった―
so let them reap
名前を呼び、駆け出したのは無意識で手を伸ばし届く距離に近づくと直ぐにその細い肩をぐっと掴み顔を覘き込む。
瞳には未だあふれ出しそうな程の涙。
掴んだ拍子で落ちた涙を指で拭ってやるとは驚いた表情を見せる。
「バ、、、、ッシュ?」
「一体何があったんだ?!」
「え、っ?、、、へ?」
何だか見ているこっちが苦しくなうような表情で何度も同じ質問を繰り返してくるバッシュ。
未だ理解出来ないは変な声を上げるばかりだった。
そこに現れた誰かがに向かって何かを投げると代わりにバッシュが咄嗟にそれを掴んだ。
「・・・・・これは・・?」
「ナイスキャッチ、バッシュ」
「危ないじゃないヴァン!」
「大丈夫だったじゃん」
「そういう事じゃないでしょ。私は暗闇でよく見えないんだからもし取れなかったらぶつかったじゃない」
「何-----・・・?・・・」
今何と言ったのだ。。。。。
「暗。。。。闇?」
「え?うん。バッシュが持ってるこれは目薬。二本目だけどね」
愛は盲目という言葉にこれは含まれてしまうのだろうか・・・ 。。。。。。
「うんこれで大丈夫。よく見える」
「ほんとさ大袈裟だよな〜」
「ごめんねヴァン」
「違うって、バッシュがだよ」
「「え?」」
もっともらしい事を言った事に驚いて同時に反応するとバッシュ。
「何か過保護というか、やけにに優しくない?特に最近」
「そう?前から優しいじゃない」
「いや、違う。何か違うんだよ」
「そういってるけど、バッシュはどう思う??」
と、ワザとらしく聞いてみる。
「・・・・・・・」
上手く言葉が見つからないのか黙り込んでしまった。
「畏まってるんだから思い過ごしじゃない?」
納得出来ず、ムゥとした表情を浮かべるヴァンを見て何やらピンときた。
「あぁ、なるほどね。分かったわ」
にっこりと微笑ましい表情を湛えヴァンを見る。
「つまりバッシュを私に取られてヤキモチやいてるんだ??」
「なッ―、なんでそうなんだよ!!誰もそんな事言ってないだろ!」
「あ、ムキになった」
「が変な事言うからだろ!!」
「いいじゃない、好きな事は素敵なことよ」
「大体取るとかそんなもんじゃないだろ。第一何でのものみたいな言い方なんだよ?!」
「――え?」
まさかこの子は。。。。。。。
私達がどういう間柄か本当に知らないのだろうか・・・。
らしいというか、末期というか。
「はぁ・・・・・」
「何で溜息つくんだよ」
先ほどから隣で一度も口を開かない彼に目線を送ると、ワザとらしく咳払いをした。
「よかったわねバッシュ」
「。。。何がだ?」
「皆のものだって。残念だけど」
「、そういう話は後―」
「それより用事があったんじゃないの?」
「・・・・あ、、、ああ。これから討伐に行くことになったんだ。悪いがヴァンと二人で待機していてくれるか?」
「エエッ!!何で俺行けないんだよ!しかもと一緒なんて―」
間髪入れず反発するヴァン。
それをが露出している背中をベシリと叩き黙らせて話を続ける。
「お留守番ね。分かったわ。砂海亭で待ってても大丈夫?」
「ああ、時間的にも丁度いいだろうからな」
「じゃあ、ヴァンと仲良〜くして待ってるわ」
「あ、ああ」
項垂れているヴァンを逃げないように掴みながらバッシュを見送った後、
空いてしまった時間をミゲロさんのお店を手伝うことにした。
忙しそうに大きな体を動かし働いているミゲロさんと、
店に遊びに来たカイツと話すヴァンを説教する。
頃合を見て待ち合わせの砂海亭に二人で行ってみたが、皆はまだ戻っては来てない様だった。
とりあえず席についてハントカタログを見たりしていたが飽きてしまったのかヴァンはテーブルの上に項垂れる。
「やっぱ行きたかったな〜」
「我慢なさい」
「はどうなんだよ?」
「それは一緒に行けるならそれにこしたことはないわ。待つ側は辛いもの」
「それって、心配とか?」
「信じてないって事じゃないけどね。ヴァンだって心配でしょ?特にパンネロとか」
「と、、、特にって何だよ!!別にそんなつもりは」
「またまたー、隠さなくていいわよ」
と、徐々に赤くなる相手をいぢめてみる。
するとヴァンは何かを思い出したのか突然不適な笑みを浮かべたのだった。
「そんな事言ったらだってそうだろ!俺、聞いたんだからな」
「あら、何?疚しい事はないわよ?」
「前にパンネロとミゲロさんの手伝い行っただろ」
「うん、行った」
「その時誰かさんと仲良さげにしてたって聞いたぞ!!!」
「あら、本当??」
と余裕を見せる相手に焦り始めたヴァンだったが一瞬の顔から目線を離し、後方を見たことに気が付く。
するとその後、腕を組んで椅子に凭れヴァンが勝ち誇ったようにこう言ったのだ。
「ってさ、バッシュの事が好きなんだ」
「え。。。。」
きっと皆が砂海亭に入ってきたのだろう。でなければこんな自信満々に言わないはずだ。
私が恥ずかしくて何も言えなくなるのを好機と思ったのだろう。
だがは全てを見透かした上で『恥ずかしそう』に俯いて見せる。
本当は可笑しくて笑いそうなことを隠す為だったのだが。
そして聞かれた問いを逆手に取りは後ろに近づいてくる足音を聞きながら
計ったように下を向いたまま確認するように呟く。
「私が彼を好きかって聞いたわね・・・?」
「。。。へ・・・?」
まさか反論してくるとは思わなかったのか素っ頓狂な声を出すヴァン。
今度はが勝ち誇った笑みを浮かべ顔をあげた。
机の上に肘をついて手には顎を乗せながら、
この騒がしい店でも想いが彼にも聞える様に少々声を張って。
「だって仕方ないと思わない?愛しちゃってるんだもの」
「−−−−−―ッ!!!!!」
口をパクパクとさせ驚きで椅子のバランスを崩し後ろへ倒れていったヴァンと、
それを心配してパンネロが駆け寄ってきた。
そして一瞬を見るが恥ずかしそうに顔を逸らした。
告白は聞えていたんだと安心しながら、さも皆が居た事を知らなかったという顔で立ち上がり後ろを振り返った。
「おかえりなさい、大丈夫だった??」
「ああ、、、、俺とフランとアーシェはな・・・・」
「何かあったの?」
「たった今な」
「そう、それは良かったわ」
クスリと笑ってバッシュの元へと近づくと顔も目線を向けようとしない相手に小さく囁きかける。
「もう一度聞くけど」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「これでもやっぱり貴方は皆のものなのかしら?」
この時確信に近いものが自らの中に芽生えた。
彼女と戦っても勝つ事は決してできないのだと―
これほど鮮やかで人の心を制圧する宣戦布告をされてしまったのだから。。。。。。抵抗する意思は最早、皆無―